『皇統の本義』完全版 神波翼
 
○導入
日本は、世界で最も古い国家である。
それは、世界で最も古い家である御皇室を中心とした国家体制が2600年以上続いているからである。
しかし今、その国家の中心たる御皇室が危機に瀕している。
 
本弁論の目的は、御皇室の正しい姿を明らかにし、その維持の方策を提案することにある。
 
○現状
それでは、御皇室の現状について説明する。
 
現在、最も若い世代の皇位継承資格者は現在の天皇の孫であらせられる悠仁親王殿下しかいらっしゃらない。このままでは、天皇家の血筋、皇統が断絶してしまう恐れがある。
 
その理由を説明する。
まず、現在の皇室典範で定められている皇位継承者の条件についてここで確認する。皇室典範第一条には「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。」と定められている。この条文の中での男系という言葉の定義は、皇族個々人の性別に関係するものではなく、ある皇族の父親、祖父、曽祖父というように父方のみをたどると、系譜上、初代天皇であるとされる神武天皇にたどり着く、という意味である。この男系の原則というのは、明治になって皇室典範が制定されたときに作られたものではない。歴史上即位してきた天皇は全て男系であった。皇室典範は、この歴史的慣習を成文化したに過ぎない。将来的に子を作れる年齢の皇族男子は悠仁親王殿下しかいらっしゃらない。故に、男系の原則にのっとると、もし悠仁親王殿下に男子が生まれなかった場合、皇統が断絶してしまうのである。
 
では何故、皇族男子の数が不足してしまったのか。
その理由とは、宮家の皇籍離脱である。戦前までは、天皇に男子が生まれなかった場合に皇位を継承する資格を持つ宮家というものが多数存在しており、皇位継承の安定が図られていた。しかし終戦後、GHQの政策により昭和天皇から血縁が遠い宮家が皇族を辞めさせられ、民間人とされてしまったのである。その結果皇族男子の数が減ってしまったことが皇位継承者減少の原因である。そして、このときに皇族を辞めさせられた方が旧皇族と呼ばれるようになったのである。
 
皇統の断絶を防ぐため、政府は女系天皇の容認という方針の対策を講じてきた。女系というのは先程述べた男系と対の概念、すなわち父方だけで系譜をたどっても神武天皇にたどり着かない、ということである。具体例を挙げる。仮に皇室典範が改定され皇太子殿下の娘である愛子内親王殿下が即位されるとする。これは、男系の女性天皇となる。そして皇族の血を引かない一般男性を婿にむかえ、間に出来た子が次の天皇になった場合、その方は女系天皇となる。
しかし、この政策は皇室の根本を揺るがす大きな誤りに他ならない。
 
○重要性
では、政府の政策の何が問題なのか。
それはずばり、御皇室を維持するための政策が御皇室の根本を揺るがすものになっているということである。御皇室の根本とは、伝統である。
 
2600年に渡り連綿と受け継がれてきた男系継承の伝統を維持することが御皇室を維持するということになる。
何故単なる血筋の継承ではなく男系の血筋での継承こそが重要なのかといえば、それは男系の継承というものが神道を根拠としているからである。神道とは、日本に古来から存在した民間信仰の集合体である。
 
では、そもそも天皇とは何なのか。
天皇とは、神道における最高の祭り主、儀式を行うものである。これは、現代に至るまで御皇室が宮中祭祀を行い続けてきたことから明らかである。天皇という存在が神道を根拠としている以上、その地位の継承も神道に基づかねばならない。
 
こういった根拠を持つ継承の原則に反する女系の容認は、決して認められるものではない。
 
○原因
では、政府は何故御皇室の根本を無視した政策を提案したのか。
それはずばり、政府及び国民が御皇室の根本を理解していないからに他ならない。
 
彼らは、御皇室を日本国憲法によって規定されたものだとしか捉えていないのである。
 
実際、男系を維持すべきか、女系を容認してもよいかという2005年12月の読売新聞の世論調査によると、70%以上が女系容認と答えている。日本国憲法によって、天皇は日本の象徴であると定められている。
 
だが、これは天皇の本来の意義である日本の頂点にある祭り主という根本的価値に、象徴という新たな価値を付加しただけである。憲法には世襲としか記されていない以上、女系で継承したとしても憲法における皇室を維持することにはなるだろう。ならば、男系女系の別なく血を引いていることのみを求めた方が、継承者の確保は容易である。
   
しかし、御皇室の根本を無視し、憲法における皇室だけを維持することになど何の価値もない。無意味である。
 
○理念
私は、皇統の本義を神道に基づく男系の継承である、と考えている。
 
これが守られているからこそ、真の御皇室であり、皇統である。
 
我々の祖先はこの伝統を確かに維持してきてくださった。
 
男系継承という伝統は祖先の意志をも宿している。
 
私は、2600年の歴史ある国家に生まれてきたことを何よりも誇りに思っている。
 
この歴史は、一度途絶えたら二度と、二度と取り戻せない。
 
 
諸君、我々はなにものにも代えがたい伝統を子々孫々に伝えてゆかなければならない。
 
○プラン
では、真に皇統を守り抜くための策を二つここで提案する。
 
一つ、旧皇族の方を御皇室に復帰させること。
 
二つ、皇族男子の方が側室を迎えることを容認すること。
 
詳細を説明する。
 
まず一つ目であるが、特別法を制定し、旧皇族およびその子孫の男系男子の方全員に、皇族に復帰していただく。復帰された皇族の方は当然皇位継承権を取得されるものとする。
 
に二つ目であるが、現行の皇室典範を改定し、皇族の方が側室を迎えることを可能とする。
 
以上二つの策を私は提案する。
一つ目により、皇位継承資格を持ち、それを伝えることの出来る方の数が増加する。現在、旧皇族の男系男子の方は30名ほどおられる。そのうち、若い方は8名ほどである。よって、将来的な安定が見込める。彼らは、現在の御皇室と旧皇族の間の親睦団体である菊栄親睦会というものにより、天皇陛下をはじめとする皇族の方と関わっておられる。故に、彼らは皇族に準ずるものとしての意識を持っているので、御皇室に復帰したならば、皇族にふさわしい振る舞いをなされるだろう。
 
二つ目により、男子誕生の可能性が増加する。
だが、強制的に側室を迎えていただくわけではないので、あくまでこの策は一つ目の策の効果を増大させるための補足的なものである。
 
以上二つの策により、真の皇統が守られるのである。
 
○締め
世界最古の国家、日本。その中心たる御皇室をなんとしても、なんとしても維持せねばならない。
皇国の未来に幸あれ。
日本万歳。
 
以上で本弁論を終了する。
静聴に感謝する。
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