飼い殺し地帯                 イワミケンサク

(導入)

 森林大国日本!日本列島の航空地図を見たことがあるでしょうか!緑色の部分が大半を占めているのがわかるでしょう。そうです!日本の国土のうち約7割が森林なのです!

これは世界の先進諸国の中でもトップクラスの森林の割合であります。

(方針)

世界の森林資源を見てみますと、2000年から2005年までの5年間に、年平均で約730億立方メートルという日本の国土面積の2割に相当する大規模な森林の減少が起こっています。

さらに、世界での木材需要は増加傾向にあります。実際、経済発展目まぐるしい中国の2015 年の木材不足量は、現状の2倍である1 4,000 万?にも及ぶことが予測されます。

そして現在、日本の森林の量は年々増加しており、1966年の人工林の森林蓄積量は約5億立方メートルでしたが、02年には約23億立方メートルとなっています。この日本の森林資源を世界に輸出しない手はありません。日本にとってはビジネスチャンスであります。

(問題提起

しかし、現状はどうでしょうか

日本の林業の現在は悲惨なもので、林業が経営として成り立たないという現状です。

林野庁によりますと、最新のスギの丸太の木材価格は12200円。これは最高値を記録した1980年の約3分の1となっています。

その結果、林業所得も減少し続け、山林を20ヘクタール以上保有し、施業を続けている経営者の林業所得はわずか1年間で約10万えん。更に林業経営者の約9割は10ヘクタール以下の山林しか保有していないため、ほとんどの林業経営者は林業所得がないどころか、逆に赤字になってしまうのです。

(問題点)

 この林業不振による問題とはなんでしょうか。

 1つ目として今後も日本は外材に依存しなければならないという点です。

日本では国産材との競合に勝った輸入木材が需要の大半を占めています。

 しかし冒頭でも述べましたとおり、世界の森林資源は急激に減少しており、世界的には森林保全に向かっています。ですから、今後とも日本が今まで通り外材を輸入できるかどうかが不透明であります。

 しかし日本では逆に森林があまっています。この日本の森林資源を使うべきなのです。

2つ目として、放置人工林の増加により森林が荒廃することです。

森林が荒廃すると、山林の「緑のダム」として機能が低下し、土砂災害や洪水被害をもたらす危険性が増します。それ以外にも花粉症患者の増加、獣害の悪化などにもつながります。このような問題は林業が産業として成り立っていれば起こらない問題であります。ですから、林業は森林保全の一端を担っていると言えるでしょう。

(理念、重要性)

私が目指すものは林業を復興させ、林業を経営が持続的に可能な産業とすることです。

ビジネスとしての林業の魅力は我々がちゃんと森林を活用出来れば、今後産業として大きく成長する見込みがあるということです。

世界的に見れば木材需要は増加にありますが、供給が不安定であるというのが現状です。ですから、十分な量が蓄積されている日本の森林は世界に輸出できる力を秘めており、このまま放っておくのはあまりにも惜しいのです。

また林業が復興すればそれが森林の再生につながります。本来ならば、風水害の防止など多くの機能を有し、我々の生活に潤いをもたらす森林が、このままでは逆に我々に被害を及ぼすという事態になってしまうのです。

(原因)

それでは、国産材が使われず、林業が不振に陥っている原因はなんでしょうか。それは主に3つあります。

1点目、大規模で集約的かつ低コストな間伐ができていないこと。2点目、製材コストの高さ、3点目、外材に比べ、均一に良い品質の木材が供給できず、需要とミスマッチが生じていることがあげられます

1点目の大規模で集約的かつ低コストな間伐ができていない原因としては日本の林業経営者の約9割が10ヘクタール以下の山林しか保有していない小規模な経営者であることが上げられます。そのため間伐する人工林が大規模で集約されるという効率的な体裁をとることができないのです。

2点目の製材コストが高い原因は現在の日本の国産材製材工場のほとんどが小中規模の製材工場であるためです。

工場の規模が小さくて零細ならば扱う素材の量も少なく生産性は低いです。ですから製材コストは高くなってしまいます。

3点目の品質のよい木材を供給できない原因も国産材の工場は小中規模工場が多いためであります。品質・性能が良いとされ、製品としては当たり前となっている人工乾燥材をつくるための木材の乾燥機を小中規模工場では、コストがかかり導入できないためです。これによって現在の国産材の半分以上は製材だけ行われた、半製品といえるものしか供給できていません。

(現状2)

ここで、現在の日本政府の政策をみてみましょう。政府は10年後の木材自給率50%を目指す「森林・林業再生プラン」を昨年発表しました。

このプランは大規模で集約的な林業経営を目指すために真っ先に行うべきこととして路網つまりインフラ整備が上げられています、これは林業不振の原因の1点目を解決することに重点を置いています。たしかに路網整備がなければ大規模で集約的な林業経営はできません。

しかし私は製材工場の改革すなわち製材工場の大規模化も重要であると考えています。

なぜならば林業不振の主な原因の2,3点目は製材工場が小規模であるために起こっていることです。

また大規模な製材工場が増えることによって旺盛な生産活動が行われます、それによって作業道の整備が進むということも期待できます。

(プラン)

以上のことを踏まえまして、プランを述べたいと思います。

現在の日本の製材工場は小中規模の工場がほとんどでありその数は小規模工場が約5700ヶ所、中規模工場が2200ヶ所、大規模工場が480箇所となっています。

この大規模工場の数は徐々に増えてきておりますが、未だに小中規模の工場が多いというのが現状です。

そこで私は大規模製材工場をつくろうとしている企業などの事業体に対し、政府がその設備費の一部を負担するプランを提案します。

欧州の木材製造コストは1立方メートルあたり5000円くらいが一般であり、国産材がこれと対等に戦える製材コストは運搬費等を考慮にいれれば1立方メートルあたり7000円です。このコストで操業するための工場の規模は12万立方メートルほどです。しかしそのような大規模製材工場を作る設備費は莫大であります。

よってこのうち一部を政府が資金面で補助を出します。財源は国の予算の林野関連の予算から捻出します。国の林野関連の平成21年度の補正予算は約2500億円であり、この内訳は公共事業としての森林整備や間伐、路網整備の予算であり、製材の施設整備にはほとんど回されていません。これらの一部を使うのです。

(最後)

 私の出身も町の9割以上が森林という宮城県七ヶ宿町であります。幼少の頃から豊かな森に囲まれて過ごしてきました。森林が私の根本にあるといっても過言ではありません。

しかしそんな日本の森が現在危機的な状況にあり、どんどん荒れ果てていくのです。私たちに多くの恩恵を与えてくれるはずの森林が、このままでは、、腐っていってしまうのです。。これぞまさに飼い殺しです!宝の持ち腐れです。今こそ、森林を再生するべきなのです。

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